日本ダンス・セラピー協会
会長 大沼小雪
新年明けましておめでとうございます。皆様、健やかに新年をお迎のことと存じます。
私は年末年始を雪国秋田で過ごしました。大雪で1日4,5回雪かきに追われました。除雪車も来るのですが、庭が広い家は家庭用の電動除雪機も使って雪を飛ばすようになりましたが、雪かきで路面出ししてもあっという間に雪は降り積もります。
私の小さい頃は窓の高さまで雪が積もり、窓から出入りしたり、わざと悪さして罰として父に雪の上に窓からポーンと投げてもらうのが好きで、何度も繰り返し楽しんでいました。1日中外で遊び、雪に色をつけてままごと遊び、迷路を作って鬼ごっこ、雪合戦、大きなツララでチャンバラごっこ、長靴で池の上を滑ったりしました。また、近所のお兄さんたちが中心になり、大きなかまくらを作りました。それは丸いドーム型ではなく四角形で高さもあり(私の姉はそこから飛び降りて足を骨折した程です)、中はいくつか部屋があり、とても大きいので「お城」と呼んでいました。子供にとって雪は何でも可能にする天からの授かりものでした。しかし、今回は必死で雪かきし、遊ぶことをすっかり忘れていました。自称遊びの天才である私が何故、雪遊びを忘れたのか。それは周囲に子供たちが誰もいなかったせいもあります。(それは全国で第一位を誇る過疎地ゆえです)大人(高齢者)にとって、子供の存在が遊び心を掘り起こしてくれる大切な存在であることに気づかされました。
昨年オリンピックが1年遅れで開催されました。スポーツは見るものに感動を与え、特にパラリンピックの選手の活躍は私にとって感動の極みでした。ただスポーツはルールとゴールがあり、他者と競い、自分と闘い、緊張の連続です。その点、遊びは多少のルールはあるにせよ、その時々で決めればいいことで、常に想像と創造のみがありゴールを求めない。誰からも称賛や期待されることもなく、ただ目の前のものに夢中になれる、現実から離れたハレの世界でもあります。私がセラピーをする際、「遊び心」、「ハレの世界」を大切にしているのは、幼少期に1日中外遊びをしたことが多少影響しているのでしょうか。
昨年は我々協会の記念すべき30周年の年で、町田章一大会会長の元、大会が開催されました。コロナ禍により、途中からオンライン大会に切り替え、開催も1日間にせざるを得ない結果となりました。それでも、10名の実行委員の知恵と遊び心とチームワークにより、充実したプログラムになり、そして予想以上の反響が得られたことは何よりも嬉しいことであり、それまでの苦労が一気に喜びに変わりました。喜びは苦労がないと得られない、それを実感できる大会でした。ただ、現在、協会を代表とするものとして、これからの運営を考えさせられるものもありました。ユニークな若手セラピストによるシンポジウムもその一つでした。その内容を聞きコロナウイルスがウイルスの特徴である変異を経て徐々に弱まり収束を迎える頃に、研修の企画をしたいと考えております。
まだ、コロナウイルスにより行動制限がなされ、外出時はもちろん、家の中でもマスクをして感染防止に努めている方もおります。時に、感染者に対して「気の緩み」と個人の責任にされることもありますが、免疫の観点から言うと、「気が緩む」というのはリラックスしている状態であり、副交感神経が優位になり免疫機能が良く働くことを意味しています。宴会でお酒を飲んだ人が全員感染しているわけではありません。感染は気の緩みで起きるわけではなく、色々な条件が重なっておきます。行動制限して孤立することで免疫機能は下がります。常に感染の不安があり緊張しそのストレスが交感神経を優位にします。感染した方には温かい関わり、いたわりが必要です。責める背景には「無知と狭い心からくる心の壁」があるように思います。これはメルケル前ドイツ首相が語ったことばですが、種々の争い、分断のみならず感染症に対しても通じる言葉でしょう。
私たちはダンスという優れた手段を用いて、免疫を上げることに貢献できる術をもっています。今年もそれぞれの方たちが創意工夫しながら人々の健康に役立つ活動ができる1年でありますように!