新年のご挨拶

新年のご挨拶

日本ダンス・セラピー協会会長
大沼小雪

新年明けましておめでとうございます。自粛ムードで揺れた2020年。多くのイベントが中止に追い込まれる中、我々の協会は﨑山ゆかり大会委員長の下、実行委員の鋭意努力と才能が結集した大会が開催されました。オンラインでも動画の活用は非常に有意義であり、受け取る側の感性にビンビンと伝わることを実感しました。しかし、集まってこそ得られる人間として最も大切な遊びの交流の限界は否めません。

会員の方々の中でも、自粛で活動が狭められたり、職場を失ったり、大変な思いをされているのではないかと大変案じております。それぞれに工夫しながら、様々に活動を展開されていることを切に願っております。

現在、宇宙に行っている人もいるというのに、ウイルス感染による偏見・差別が横行している今は、ハンセン病が誤解されて犯罪者にも似た扱いを受けていた時代に戻ったかのような錯覚を覚えます。しかし、海外の病院でスタッフが一丸となってダンスを踊ってお互いに励ましたり、日本でもダンスで人々を励まそうという人たちもいます。同じ時間を過ごすのに不安で免疫力を下げるより楽しむことで自分も見る人も気分良く、免疫力を上げることにつながることを実践しているのが素晴らしいと思いました。

昨年、行動制限が求められる際に「命を守る行動を!」が叫ばれましたが、それには違和感がありました。命は自粛していれば守れるものなのでしょうか。私たち生物にはそれぞれに生命力が与えられ、それぞれに寿命が来ると亡くなります。どんなに医学が進んでも、死は必ず訪れます。救える命といいますが、外傷など可視化でき、生命力、自然治癒力が残っていれば治療が功を奏し回復します。それは現代医療のなせる業です。「命を守る行動」という抽象的な言葉は、命について深く考えた言葉ではなく「あなたも感染者かもしれないから、出歩かないように」という不安を植え付ける言葉のように思えました。

抵抗力、免疫力が低下していれば、感染のリスクは高まります。逆のことも言えます。感染は他者との接触というより、個々人の状態によると考えている人もいます。また、病気になることは個人の責任でもなく、ましてや他者の責任ではないのです。

私が継続させていただいているデイケアでは、スタッフと共に感染対策をしながら、ゲームで笑いを、回想法で豊かな語りを、音楽とダンスで体を動かして発散を、そうやって私自身も楽しみつつ免疫力をあげたいと思って実施しています。

セラピーは癒しです。不安になっている人がいれば、様々な工夫をしながら一緒に体を動かしていつもと違う感覚を味わってもらいたいものです。

今年の大会は一工夫されている皆様の活動、研究をシェアしましょう。大変な状況の中でも良いことを発見できる1年でありますように!