第36回 研修講座報告

研修講座委員会委員長
大沼小雪

概要(クリックで開閉)

日時:2025年6月14日、15日
会場:こども教育宝仙大学体育館
ブログラム:
Ⅰ基礎論 :1. 概論Ⅰダンスセラピーの原理:定義・目的(町田章一)
Ⅰ基礎論 :1. 概論Ⅰ現代医療における位置づけと適用(大沼小雪)
Ⅳ実践技法:1. 協会認定の実践技法 ボディトーク(永井順子)
Ⅱ実践論 :4. 精神科領域 T.シュープの理論と技法(町田・大沼・平舘ゆう)
Ⅳ実践技法:5. 知的障害・発達障害領域(松原豊)
Ⅱ実践論 :3. ダンスセラピー 集団アプローチ グループプロセスとリーダーシップスキル(鍛冶美幸)
Ⅳ実践技法:5. 生涯教育領域 今、子どもたちのからだに起きていること(照屋洋)
Ⅳ実践技法:4. 多様なダンス 参加者とのダンス交流(大沼・照屋)

告知ページ

今回の参加者は19名でした。病気や怪我で参加ができなくなってしまった方が数名おり、次回、元気になってお会いできることを願っております。

今回の参加者も様々な分野で活躍、活動されているパワフルな方たちで、それぞれの持っているパワーを共有できた時間でもありました。自分とダンスについて熱く語る場面があり、色々な工夫をされながら、ご自分のダンスを活かして実践されている様子を知ることができました。

2日間の講義の感想の一部をプログラム順ご紹介したいと思います。

*1日目

基礎論「ダンスセラピーの原理:定義・目的 講師:町田章一先生

・マリアン・チェイスの「ダンスはコミュニケーションである。ダンスで病気を治すわけではない。身体表現でお互いのことを理解すること」
・DTとは「体・心・社会の健康である」ということに共感した。目の前にいる人が元気になること、に共感した。
・体を動かすことの効果を軽視されていたから理論武装が必要。
・自分なりのDTを確立するためのヒント、研究領域がたくさんあった。
・DTはそれぞれの個性、得意なものを使ってやるので、自己流を作り出すことが大切だとわかった。
・ターミナルにおけるDT、是非教えて欲しい。

基礎論「現代医療における位置づけと適用」大沼小雪

(*固定観念から離れてファンタジーを活用した技法を紹介した)
・人間本来の楽しさを引き出すことは心の健康を作る基本である。ユーモア、ファンタジーの心を忘れずに歩みたい。
・固定観念を解放して心の方さを緩めることで、周りの空気も緩んで来ることを実感した。
・深層心理に入り込んでトラウマを探っていくのがセラピーと思い込んでいたが、空想の力も借りて、良いところを広げていく可能性、効果を実感した。
・ファンタジーは想像力が広がるだけでなく、即興にもつながると思った。
・目の前の人に関心を持ち続けること、即興で動いて、ユーモアを使って、体全部で動く、もはや生きることがダンスだと思った。
・東洋思想、東洋舞踊の大切さを思う。
・その人自身に興味関心をもつ、一緒に楽しむことが大切。
・セラピーとは希望を見出すこと。一人一人にあったオーダーメイドのセラピーを追求していきたい。
・想像の即興性、リラクセーション技法が身体と心に触れること、最高の治療は笑いであるということ。セラピーとは良いところを広げることなど、を学びDTの真髄に触れた気がした。

実践技法「ボディー・トーク」永井順子先生

・非言語コミュニケーションの基本を見たような気がした。
・自分の呼吸と他者と呼吸が合っていく感覚が面白かった。
・1つの有機体として動いていると元気で活力がUPする
・体験してすっきりでき、感動。
・触れ合うことで得られる安心感が感じられた。体と心がつながっていることも実感できた。
・言葉の一つ一つを吸収したいと思える充実度だった。子育て中のお母さんが子どもを怒っている時、一緒に体は冷えているんだろうなあ、温める支援をしたいなあと心の底から思った。楽しくすっきりとした明るい気持ちになった。
・脱力することやバランスを整える必要性、その方法を学んだ。全てのことを美しいと感じるこころで生活したいと思った。
・一人では体験できない2人、3人、4人のダイナミクスを学んだ。人間は一人では生きられない。
・身体と息の関わりを学ばせて頂いた。人を動かそうとするのではなく、人の動きを引き出せる沢山の手法と理論を体感することができた。

実践論「精神科領域」T.シュープの理論と技法 町田章一先生

・ミラーリングは相手を受け入れることである、ということを学んだ。
・身体接触を介しながら非言語コミュニケーションを多くとっているように感じた。
・参加者とTh.という明確が区切りがあるように思われず、癒しの空気に満ちていて経験や人柄が大事だと認識した。
・冷静に技術を吸収することができた。患者さんとの接し方、間の取り方、話しかけ方など興味深かった。
・出会いから別れの心のドラマを見るように味わった。
・相手を尊重して接している姿を見て、このセラピーに一番大切なことを教えてもらった気がした。
・Shoop先生が一人一人の目を見て、じっくりと感じ、言葉かけをしたり、Non verbalの対話をしていることが印象的。人間の内側から出てくるものを心から大切に生かしている先生の素晴らしい人格、あふれる心の豊かさと研ぎ澄まされた芸術性に心が打たれた。
・Shoopの優しいまなざし、落ち着き、判断力、共感力、患者を尊重する力、即興性の一つ一つが学びになった。

1日を通して

・毎回、自分の中で深まっている。・濃密な時間・DTは「心と心のつながり「心と体のつながり」
・とても充実した講義内容であった。・座学と実践、交流も貴重な体験だった。・言語化できなかったものが、解明された感がある。
・どんな人をも否定しない、どんな人も一人にしないというダンスセラピーの根底に流れているものを感じ取ることができた。
・益々ダンスセラピーに興味が高まり、実践していきたいと感じた。

*2日目

Ⅳ実践技法 5.知的障害・発達障害領域 松原 豊先生

・障がいの方々の理解は、人間そのものの理解につながっているように感じた。
・一人一人に対する尊厳や個性を尊重していくことの大切さを改めて学んだ。
・正解や優劣はつけられないため、誰でも楽しむことができると思った。
・効果を言葉にしてもらい良く理解できた。
・同じ方を見てニーズを理解していくことが、支援の心構えとして大事。
・日常では直線的な動きになるので、曲線的な動きを取り入れると良いということも参考になった。
・認知症高齢者の脳と発達障害児童の脳は酷似しているとのことで、認知症の方に感覚統合を取り入れているので、とても参考になった。
・仕事でこのような子どもたちと接しているので、イメージもしやすくなるほどと思うことが多々あった。
・小道具、写真、などイメージを膨らませる手立ては、主体性を高めるための名前カードを張るなどの細かい工夫が勉強になった。サークルダンス、集団による即興、椅子での2人組のポーズが決まっているだけで終結がある。
・支援の目的、自己肯定感を高める。これは全人類に共通することであり、自分の在り方の見直しにもなった。

Ⅱ実践論 3.ダンスセラピー 集団アプローチ 鍛冶美幸先生

・サークルになって遊びながら他の方の動きに合わせたり、見つけたり、ダンスの持つ可能性、一人一人の素晴らしさを感じた。自ら考えるのではなく、皆の動きから次なる動きをピックアップする、意外と難しい。
・一人で生まれ、母と出会い、社会と出会うプロセスと自分と相手の動きの融合、本当に面白かった。
・オーセンティックや瞑想、呼吸の導入から2人、グループと組んで鏡のようにお互いの中に自分自身も見つけるようなワークが流れとしてとてもためになった。
・一人の時は深いところへ、集団では上へ、開放的な気分になり、不思議な体験だった。
・集団も一つのパーソナリティを持つことや、情動調律の話は勉強になった。
・姿勢一つでも性格が表れるのかなと思った。
・小さな動きを拾いながらやり、みんなの動きがどんどん伝染していくのを見て、自然と体が動いた。ラストは自然と涙が込み上げた。
・ソロから一人ずつ関係を増やしていくワークも集団が変わることで変容する自分のふるまいの変化に気づけるのがとても学びになった。

Ⅳ実践技法 5,生涯教育領域 今、子どもたちのからだに起きていること 照屋 洋先生

・表面から見えない体の中では心と連動して色んなことが動いている。子供たちの繊細な体の声に目も耳も注目する事の大事さを感じた。ワークもとても面白く、温かさや気づきのセンスを引き出してくれちるような気がした。ヒコーキを使ったストーリーや石を交換するワークは人としての素晴らしさに気づける感動のワークだった。
・楽しみながらも、コミュニケーションやアイスブレイクの時に、すぐ実践できそうだ。
・ダンスや遊びを通じて本当の性格などが見えるような気がした。
・WSの結果はすぐには出ない事、うまくいかなかった事があった場合も落ち込む必要ななく、面白かったと思うように心がけると良い。不登校の子どもたちにも学校に行くことを目的にはしない。という事を心に留めておきたい。一人一人の事を心から認めて下さるのが伝わってきて、これがまさに自己肯定感が高まるということだと感じた。
・大人になって真剣に遊ぶことで人との壁が一瞬で消えていった。
・すべてのワークにしっかりした意図があって、その意図に気づかずに楽しめるようになっていた。
・石の意思を感じた。

実践技法 多様なダンス 参加者とのダンス交流Ⅱ 大沼小雪 

・それぞれの個性が輝いて、笑顔がすごく素敵。参加された方の歴史や思いが伝わってきて、それが上励みや勇気になって、とても良い交流だった。
・即興は苦手意識はあったが、それぞれのダンスを認めあうことで、自分はこれで良いのだと思うことができた。自分の今後のダンスとの関わり方や向き合い方を見直すきっかけにもなった。
・こんなにもみんなで楽しくなれるということを改めて体感した。
・ダンス経験がなく、苦しさや恥との闘いもあったが、激しく動き回って対処した気がする。他の人の自由な表現を見て、ダンス面白いなと感じた。
・即興は苦手意識があり、緊張したが楽しくできた。真似をしながら踊ると先生の世界に入り込んでいくような感覚になった。
・即興は凄く苦手意識を持っていた。ずっと他者と比べていたんだと思う。しかし、今日は何の抵抗もなくできたことが自分の中で大きな驚きでした。
・参加者の方の想いを伺って、ダンスには力があるということを感じた。
・共通しているのが、「ダンスに救われた」と思っており、ダンスを信じることで、目指す世界は違っていても同じ想いの方と出会うことができて、素晴らしい2日間になった。
・改めて、みんな違うのは当たり前と感じられた。
・苦手意識はあったが、それぞれのダンスを認めあうことで、自分はこれで良いのだとおもうことができた。
・こんなにもみんなで楽しくなれるということを改めて体感した。
・みんなそれぞれの持ち味と歴史がその人を作っている。

2日目の感想・今後の要望、受講したい講座など

・深い中にもユーモアあり、喜びありの2日間でした。
・自分の中で言葉にならなかったものを言葉にできた感じがした。
・この場に来られたことに、感激しかない。
・先生方の醸し出される温かい雰囲気が素敵だった。
・高齢者領域とターミナルのセミナーを聞いてみたい。
・あらゆるワークがあって、本当に無限だなと思った。道具を使うワークをもっと体験してみたい。音楽療法とのコラボも受けてみたい。
・受講者同士で実演する機会があっても学びがあるかも、と思った。
・「なんか、心地よい感じ」
・男性の動かし方?プログラムの作り方、に苦慮している。そんな研修、実技もあったらと思う。