第34回JADTA研修講座 報告      

研修講座委員会 委員長 大沼小雪

 2024年6月22日、23日の2日間、目白駅前にある東京教育専門学校の教育ホールにて開催されました(参考:第34回研修講座のお知らせ)。教育ホールには、スタンウェイのグランドピアノが設置されており、それを自由に弾くことが許され、2日目はそのピアノを活かして、即興を取り入れたり、いつもと少し違う展開が試みられました。因みに、実行委員は私を除いて全員ピア二ストのごとく、自在にピアノが弾くことができ、ダンサーでもありピアニストでもあるという多才な実行委員でした。

 今回の参加者は13名で、北は北海道、南は九州、そして海外(上海)からも参加があり、感性豊かな方々で、熱心に受講されていました。

 受講生の方々には、講師毎に学んだこと、感想を書いていただいており、それを少しご紹介したいと思います。

町田章一先生 「基礎論:概論Ⅰ ダンスセラピーの歴史」

  • お話がとても面白い。自分自身のダンスセラピーの定義を持つこと、セラピストとして報酬をどのように頂くか、世界の中の日本のDTの位置づけ、日本のDTの歴史について学ぶことができた。
  • 古くからダンスは人々に生きる力を与えてきたこと、表現の効果を改めて知った。日本の風土や日本人の性質にあった踊りも今後取り入れていきたい、と思った。ダンスセラピーのダンスは自分の得意なもので行うと良いと聞き、自分でもできるかもしれないと、モチベーションにつながった。
  • ダンスセラピーは色々あって良い。その国の特徴を生かしたセラピーがあって良いことを学んだ。

松原豊先生 「基礎論:概論Ⅱ 身体表現力」

  • 表現の多様性を実践をもって学ぶことができた。
  • 「表現には他者が必要であり、身体表現されたものは身体を通り受け手に伝わる」と聞き、より伝わるためにはさらに、表現の質を上げられたら良いと感じた。お花の表現について、何の花か決めて表現すると表現がこんなにも変わる事に驚いた。
  • 道具を使って動きを取り入れ、音楽が流れると自然にダンスになること、これなら踊れないという方もダンス体験ができると思い感激した。
  • 無意識と意識の間にあるものをすくいあげるようなダンスセラピーをいつか実践してみたい。

大沼小雪 「Ⅱ実践論・5高齢者領域」

  • 触れるということについて、深く考えさせられた。
  • 生身の人との向き合いで、大切な心の持ち方や相手への気遣いなど学びが多かった。
  • 手の暖かさは心と体を温めると思った。
  • 触れる、ということの大切さと意味を学ぶことができた。高齢者への配慮が先に立つが、ダンスを楽しむと言う点が失われてしまうと効果が半減する。今、その時を楽しみ、孤独ではない時間が貴重。
  • どのような触れ方、動かし方が心地よく感じてもらえるか、課題だと思った。様々な音楽に合わせて、想像を膨らませ、共に夢の世界へ身体ごと入り込むことはAIにはできない。

永井順子先生 「Ⅳ 実践技法 1.協会認定の実践技法:ボディトーク」

  • 大変興味深く、実際に自分の身体に変化を感じられ、目からウロコだった。
  • まずは自分の身体を解すこと、呼吸を深く、温かくしたい。
  • 人に触れられることがこんなにも温かく心地よいホッとできるものだということに驚き。
  • 「人は共に生きる」ということを改めて感じるひと時だった。互いに動き合うエネルギー波動というか、息が合う時に幸せを感じた。特に音楽がなくとも、人の声が共鳴するときに歌となり人を癒すのだとうことを体験した。
  • 受講中は体が緩んで、自分の好きな自分になれた実感があって嬉しかった。

鍛冶美幸先生 「Ⅳ実践技法 3.海外のダンスセラピー技法(チェイスメソッド)」

  • 精神疾患の患者さんに対するダンスセラピーの技法を体験し、動きによって感情が外へ出る感覚や自分でも気づいていない感情、思いが自然に出てきたことに驚きと効果を感じた。みんなと一緒の動きをしたり、1人の動きに戻ったりしながら踊ると個人
  • 他者とのコミュニケーションが取りやすく、解放感や一体感を味わえた。
  • 目からウロコのひと時。チェイスメソッドは、円になる中で、自由な個のあり方も認められ、共にある喜びと、「ありのままでいい」という安心感の中で展開され、素晴らしい。
  • 言葉がけによって、感じるがままに身体を動かしてみると驚く程、身体全体を使っていた。自分の考えるDTそのものを体験でき感動!

松原 豊先生 「Ⅱ 実践論 6.身体障害領域」

  • ダンスという手法で、身体に不自由があることを大きな障害と捉えるのではなく、環境を整えたり方法を工夫することで解決できることを理解できた。
  • 視覚障害者としてダンスをしたのは初めてで新鮮な経験。様々な工夫と代替手段を使ってダンスができるのだと思った。
  • 障害があってもダンスをもっと楽しめるんだと視野が広がった。障害があってもなくても、やりにくさ、苦手さをサポートしあえるように心がけていきたいと思った。ダンスが力になれることを確信した。

照屋 洋先生 「Ⅳ実践技法 5.対象者に特化した実践技法:生涯教育」

  • 長年の教師としての経験から先生のオリジナルの様々なワークが編み出されていて、感動。
  • この人はこうだから仕方ない、と諦めてしっかり向き合っていない自分に気づいた。一人一人に向き合ってやっていこうと思う。
  • 全てのワークが先生の深い愛や想いが込められている気がした。宝石のワークでみんな違ってみんが良い、と理解させてもらった。
  • 踊りが苦手な子供たちでも、気づいていたら踊りなっているって素敵。
  • 先生のワークはどれも楽しく、抵抗なく取り組め創造性が発揮された。
  • お話のひとつひとつに心がこもっていて、言葉と音楽とその場の雰囲気なのか、とにかく涙が出た。

大沼小雪・照屋 洋先生・星野ゆう子先生 「Ⅳ 実践技法 4.多様なダンスを基盤とする実践技法」

  • 参加者のダンス共有の場では、その人たちのこれまで生きてきた歴史、バックグラウンドがあると思った。
  • アルゼンチンタンゴは2人で動く方が、やれることの幅が圧倒的に増えて、楽しかった。2人の方が自由に動けて不思議な感覚だった。
  • 皆さんが本当にダンスが好きで、周りの方々にも楽しんで欲しいと思っていることがわかり、幸せな時間となった。
  • 形にこだわらずやってみると、感じたままを表現すると一体感も生まれ、ダンスでコミュニケーションをとると言う楽しさや心の解放感を味わうことができた。照屋先生の演劇的な手法も遊びながら相手のことを理解しようとして、笑顔になりながら自然と一体感が生まれて面白かった。照屋先生の合図に合わせて即興ポーズを取ると考える暇がないので楽しかった。

2日間を通しての感想

  • 知識だけでなく、実技も含めて、DTがどういうものかを体感できてとても満足している。
  • 知識、体験、交流、と様々な方法で刺激を受けた。
  • この二日間は人生が変わる転機となった。言葉で言い表せない感動を覚えた。
  • 色々なダンスを体験してみて、例え踊ったことがない方や踊ることに抵抗がある場合でもできるんだということがわかった。
  • ダンスセラピーと言っても、対象者及び講師の特徴、参加者同士の関係性など様々な要素によって、毎回毎回、セラピー内容や反応は異なるだろう。ある程度の流れはありつつも、その場で作り上げていくもので、そこに難しさも楽しさも入っているだろうと思った。
  • チェイスメソッドとの出会いは運命的だった。
  • 自分自身を磨きながら、自分らしいスタイルを見つけていきたい。
  • 様々な方法で刺激を受け、充実していた。来る前の疲れが取れた。

 受講された方々、丁寧にたくさん感想を書いて頂きありがとうございました。また、次の機会にお会いできることを楽しみにしております。