地域派遣事業開催報告

平成26年度のダンスセラピスト地域派遣事業の開催報告書を三谷真保(スタジオM、広島県福山市在住)さんから頂きました。


タイトル:身も心もイキイキ元気に!-大人のためのダンス/ムーブメントセラピー-
派遣ダンスセラピスト:荒川香代子
企画責任者:三谷真保
日時:平成27年5月16日
場所:広島県福山市 スタジオM

2015年の福山バラ祭りの初日、五月晴れの土曜日。この町で一番きれいな季節に、他県からの参加者を交えて9年ぶりのダンス/ムーブメントセラピーの講習会を開催することができました。ご参加の皆様、ありがとうございました。

スタジオMは福山の中心街から少し離れた場所にあり、普段は子どもさんたちのバレエ教室をメインに活動しています。私自身、荒川先生のダンス/ムーブメントセラピーに出会って17年になり講習会も多々参加してきましたが、家業との両立はなかなか大変でもあり、近頃は腰を据えてダンス/ムーブメントセラピーを体験する時間がとれずにいました。以前、福山でのワークに参加してくださった方などからの「もうワークは行わないの?」という声にお応えしたいという気持ちが強まっていた時、JADTAの地域DMT推進委員会の助成金を知り、応募してみようと考えました。

自分でダンス/ムーブメントセラピーのワークを提供する時間的な余裕はまだ持てませんが、広島に移られた荒川先生をお招きして講習会を開くことならできそうですし、2005年に健康講話の一環として荒川先生にお越しいただいてから途絶えていた地元でのダンス/ムーブメントセラピーの活動を再点火するためのきっかけを作りたいと思ってのことでした。

集まってくださったのは女性ばかり14名でした。初めて体験される人から、何度か体験したことのある人など、年齢や職業も幅広く、お互い少し緊張した雰囲気の中、静かにウォーミングアップがスタートしました。途中でリズムを合わせたり、お互いの動きに添うような下ごしらえが済むと、大胆な動きで楽しさや活気が生まれる一方で、戸惑いや不安もヒタヒタと迫ってきて、興味深いやり取りがいくつも湧き出しました。またペアやグループを巡る駆け引きの陰で、それぞれの揺れる気持ちを抱えつつ、全体はだんだんと練り込まれ、今日の私たちの熱い思いが輝き始めたようでした。最後に歩いた各ペアの姿は、どれも自信にあふれ、「私を見なさい」と迫ってきて力強かったです。

今回はこのアッという間の3時間を過ごした後で、喫茶コーナーに場を移し、それぞれの体験を振り返り共有することで、ダンス/ムーブメントセラピーとはどのようなものであるかを味わってもらう時間を設けました。このようなワークと講話を合わせて学ぶのは初めての試みでしたが、体験の振り返り以上のコメントも聴けてなかなか好評でした。普段あまり動く機会のない参加者や初めて体験された方々にとっては体験したことが頭で整理でき、活動中の出来事をワークの場に置いて帰れる安心感につながるとも感じられました。さらにワークを提供する視点で、「子どもたちとのグループの始め方やワークショップの企画の仕方」についての質問などについても意見交換ができ、ワークの新たな展開も構想されたようでした。講話に合わせて温かいお茶や軽食を提供し、より気軽に話せるようにしたことで、参加者は動くことへの抵抗も含め今日の自分をリラックスして表明され、仲間意識も感じられる体験となりました。皆さん明るいお顔になってお帰りいただけたようで、主催者として良かったと感じています。 踊ることを省いて暮らしはなりたたないほど、私にとって踊ることは大きな存在であり、その中でもダンス/ムーブメントセラピーは、私自身に向き合える大切な場です。地方都市では、参加者の動員など難しい面もありますが、地元の参加者が多かったことは自信になりました。また野球や映画の入場料を意識して思い切った低料金で企画できたのは、助成金をいただけたからに他ならず、本当に嬉しく思っています。ありがとうございました。

(JADTA News 117より)